SESエンジニアとして働いているあなた。「SESの年収って、いったいどのくらいまで上がるの?」「同じ経験年数のSIerやフリーランスと比べて、年収が低いんじゃないか…」といった不安を感じたことはありませんか?

本記事では、SESエンジニアの年収の限界について、徹底的に解説します。

さらに、平均年収や年齢別の相場、年収が上がりにくい理由から、年収アップのための具体的な方法まで、SES年収のリアルに迫ります。

SESの年収の限界はどのくらい?

SESエンジニアとして働くうえで、年収の限界はどのくらいなのでしょうか。

ここでは、SESエンジニアの平均年収や、年齢別・経験年数別の年収相場、そしてSESで到達可能な最高年収について詳しくみていきます。

SESエンジニアの平均年収を徹底解説

まずは、SESエンジニアの平均年収についてみてみましょう。SESエンジニアの平均年収は約450万円ほどだといわれています。dodaの調査によるエンジニアの平均年収と比べると、それほど大きな差はないようです。

ただし、SESの場合は経験年数やスキルによって年収が大きく変動するのが特徴です。たとえば、経験1~2年目の若手エンジニアだと、年収300万円前後というケースが多いようです。一方、10年以上の経験を持つベテランエンジニアともなれば、年収600万円以上というケースも珍しくありません。

年齢別・経験年数別のSES年収相場

つぎに、SESエンジニアの年齢別・経験年数別の年収相場について詳しくみていきましょう。

20代前半のジュニアエンジニアの場合、年収300万円前後というケースが多いようです。スキルや経験はまだ浅いですが、将来的な成長が期待できる年代といえます。

20代後半から30代前半になると、徐々に経験を積んでスキルも向上してきます。それにともない年収も400万円台後半から500万円台前半に上昇するケースが多いようです。プロジェクトリーダーを任されるようになるのもこの年代が中心です。

30代後半から40代にかけては、SESエンジニアの年収が最も上昇する時期だと言われています。高度な技術力とマネジメント能力が評価され、年収600万円以上のケースも増えてきます。プロジェクトマネージャーとして活躍の場を広げていくことが期待される年代です。

50代ともなると管理職への就任や、専門性の極めて高い技術者としての地位を確立している人が多くなります。年収も700万円以上のケースが珍しくなくなってきます。ただし、50代でも現場の最前線で活躍しているエンジニアも多く、必ずしも管理職という訳ではありません。

SESで到達可能な最高年収は?

では、SESエンジニアが到達できる最高年収はどのくらいなのでしょうか。

SESの場合、役員クラスや、特殊な技術を持つエンジニアを除けば、到達可能な最高年収は800万円前後だと言われています。プロジェクトマネージャーやシステムアーキテクトなど、重要な役職に就くことで、この水準に到達するケースが多いようです。

また、特定の領域で極めて高度な専門性を持つエンジニアの場合は、年収1000万円以上という例もあるそうです。たとえばAIやビッグデータ、クラウドなどの先端技術の領域で第一人者と呼ばれるようなエンジニアがこれに該当します。

ただし、こうした例はごく一部のエンジニアに限られます。一般的なSESエンジニアの場合は、年収600万円から700万円程度が上限になるケースが多いと考えられます。

いずれにしても、SESで高年収を得るためには、高度な技術力とマネジメント能力が不可欠です。日々の業務の中で着実にスキルを研鑽していくことが、年収アップへの一番の近道だと言えるでしょう。

SESで年収が上がらない理由は?

SESエンジニアとして働いていると、なかなか年収が上がらないと感じる人も多いのではないでしょうか。ここでは、SESで年収が上がりにくい主な理由について解説していきます。

多重下請け構造による影響

SESが年収上昇の足かせになっている大きな理由の一つが、多重下請け構造の存在です。SESの場合、エンドユーザーから元請け、そこから孫請けへと仕事が流れていきます。当然ながら、各社はマージンを取るため、下流にいくほど単価が下がる傾向にあります。

つまり、実際にシステム開発を担当するSESエンジニアの単価は、エンドユーザーが元請けに支払う金額よりもかなり低くなってしまうのです。マージンを取られた分、どうしても年収が上がりにくくなると言えます。

特に下流の会社に所属しているエンジニアほど、この影響を大きく受けることになります。単に実力が劣っているからではなく、構造的な問題で年収が上がりにくいというのが実情なのです。

スキル不足による影響

SESで年収が上がらないもう一つの理由が、スキル不足の問題です。IT業界は技術革新のスピードが非常に速く、常に新しい技術が登場しては消えていきます。こうした変化についていけないエンジニアは、どうしても市場価値が下がってしまいます。

たとえば、10年前はJavaやPHPの人材が不足していましたが、現在ではAIやビッグデータ関連の人材ニーズが高まっています。こうしたトレンドを読み取り、新しい技術をいち早く習得することが、年収アップのカギを握ります。

しかし、日々の業務に忙殺されているSESエンジニアの中には、なかなか新しい技術の習得に時間を割けない人も少なくありません。スキルが古いまま、同じ仕事を繰り返しているうちに、いつの間にか市場価値が下がっていた、というケースも珍しくないのです。

スキルアップを怠らず、常に技術トレンドをウォッチしていく姿勢が何より大切だと言えるでしょう。

関連:SESの案件でスキル不足が原因で退場することはある?スキル不足のリスクなど解説!

単価交渉力の弱さ

SESエンジニアの年収が上がりにくい理由として、もう一点見逃せないのが、単価交渉力の弱さです。SESの場合、自分の給与をダイレクトに交渉する機会がほとんどありません。所属する会社の営業担当者が、エンドユーザーとの単価交渉を行うのが一般的だからです。

つまり、いくら高いスキルを持っていても、営業担当者の交渉次第で単価が決まってしまうのがSESの特徴と言えます。技術力の高さが必ずしも単価に反映されるとは限らないのです。

エンジニア自身が単価交渉に参加できれば良いのですが、現状ではそのような機会はほとんどありません。自分の市場価値を適正に評価してもらうには、所属企業を変えるしかないというのが実情なのです。

以上のように、SESエンジニアが年収アップを実現するのは容易ではありません。構造的な問題もあれば、自己研鑽不足の問題もあります。総合的に課題をクリアしていくことが、SESで年収を上げるための近道と言えるでしょう。

SESとSIer・フリーランスの年収を比較!

SESエンジニアとして年収アップを目指す際、他の雇用形態との比較は欠かせません。ここでは、SIerやフリーランスとの年収比較を行いつつ、それぞれの雇用形態のメリット・デメリットについても解説していきます。

SES vs SIer

まずは、SESとSIerの年収比較から見ていきましょう。一般的に、SIerの平均年収はSESよりも高いと言われています。大手SIerともなれば、年収600万円以上のケースも珍しくありません。

その理由としては、SIerが元請けとしての立場を担っているからだと考えられます。SESの場合は下請けになることが多いため、どうしてもマージンが取られてしまいます。その分、SIerのほうが年収面では有利だと言えるでしょう。

ただし、SIerの場合は技術よりもマネジメントに重きが置かれる傾向にあります。コードを書くよりも、プロジェクト管理や営業活動に時間を割くことが多くなるのです。エンジニアとしてのスキルを高めたい人には、あまり向いていないかもしれません。

一方、SESの場合は現場でのシステム開発に専念できるのが大きなメリットです。最新技術に触れる機会も多いため、エンジニアとしてのスキルアップが望めます。年収面ではSIerに分がありますが、技術力を高めたい人にはSESのほうが適しているといえるでしょう。

関連:SESとSIerの違いとは?働き方、年収、契約形態、向いている人の特徴など詳しく解説!

SES vs フリーランス

次に、SESとフリーランスの年収比較について見ていきます。一般的に、フリーランスエンジニアの平均年収はSESよりも高いと言われています。スキルが高ければ、年収1000万円以上を稼ぐことも不可能ではありません。

フリーランスが高年収を得られる理由は、何といっても高い単価設定にあります。SESの場合は所属企業に単価を決められてしまいますが、フリーランスは自分で単価を決めることができるのです。実力さえあれば、SESの2倍以上の単価で仕事を受注することも可能です。

また、フリーランスの場合は自由に仕事を選べるのも大きなメリットです。興味のある案件だけを選んで受注することで、モチベーションを高く保つことができます。スキルアップのための時間も確保しやすいと言えるでしょう。

ただし、フリーランスにはリスクも付きまといます。何よりも受注が安定しないのが悩みの種です。案件が途切れれば、当然ながら収入もゼロになってしまいます。健康保険や年金などの福利厚生も自分で用意する必要があります。

会社という安全装置がない分、常に不安と隣り合わせという点は忘れてはいけません。フリーランスで高年収を得るには、高いスキルとともに、リスクを管理する力も必要不可欠だと言えます。

各雇用形態のメリット・デメリットまとめ

ここまで、SESとSIer、フリーランスの年収比較を行ってきました。それぞれのメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。

  • SES:技術力を高められる一方、年収面では不利。
  • SIer:年収は高いが、技術力を高めるのは難しい。
  • フリーランス:年収は高いが、リスクも大きい。

どの雇用形態を選ぶべきかは、個人のスキルや志向によって大きく異なります。年収を最優先するならSIerやフリーランス、技術力を高めたいならSESといった具合です。

ただし、ひとつの雇用形態にこだわる必要はありません。状況に応じて柔軟に雇用形態を変えていくのも、エンジニアとしてのキャリア構築においては重要なスキルだと言えます。

SESで年収アップを目指すための具体的な方法とは?

SESエンジニアが年収アップを実現するためには、具体的にどのような方法があるのでしょうか。

ここでは、スキルアップや転職など、SESで年収アップを目指すための具体的な方法について解説していきます。

スキルアップをする

SESで年収アップを目指すために、まず取り組むべきはスキルアップです。新しい技術を習得したり、資格を取得したりすることで、自分の市場価値を高めることができます。

たとえば、今注目されているAIやビッグデータ、クラウドといった分野の技術を習得するのも一つの手です。こうした最新技術を身につけることで、高単価案件にアサインされる確率がグンと上がります。

また、資格取得も年収アップに有効な手段です。ネットワークスペシャリストなどの資格を取得することで、自分の専門性をアピールすることができます。資格手当がつく企業も多いため、年収面でも有利に働くでしょう。

年収交渉を行う

SESでは所属企業の営業担当者が単価交渉を行うため、エンジニア自身が年収交渉に参加することはほとんどありません。しかし、自分から年収交渉の場を設けることも、年収アップには効果的です。

具体的には、所属企業の上司などに対して、自分の実績やスキルをアピールし、年収アップを直接要求するのです。自分の市場価値を正当に評価してもらうためには、こうした交渉術も必要不可欠だと言えます。

ただし、交渉の際は数字だけでなく、自分の将来のキャリアプランについても言及することが大切です。

PM・コンサルへのステップアップする

SESで年収アップを目指す上で、もう一つ重要なのがキャリアプランの策定です。特に、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントへのステップアップを視野に入れることが大切だと言えます。

PMやコンサルは、技術者よりも高い年収を得られるポジションだと言われています。技術力だけでなく、マネジメント力やコミュニケーション力が求められるため、市場価値が高くなるのです。

SESの経験を積んだ後、PMやコンサルへとキャリアチェンジを図ることが、年収アップの王道パターンだと言えるでしょう。ただし、そのためには日々の業務の中で、技術以外のスキルも磨いておく必要があります。

年収アップを狙うために転職する

最後に、年収アップを狙うために転職するという方法についても触れておきます。SESの場合、一つの企業に留まり続けるよりも、転職を繰り返したほうが年収は上がりやすいと言われています。

特に、大手SIerやメガバンクの系列企業への転職は、年収アップに有効だと考えられます。しっかりとしたマネジメント体制のもと、高単価案件を数多く抱えているためです。

また、特定の業界に特化したSES企業への転職も有効な手段の一つです。たとえば、金融系や医療系のシステム開発に特化したSES企業であれば、専門性の高さから高単価案件も期待できます。

ただし、転職を繰り返すためには、十分な企業研究が欠かせません。自分のスキルセットに合った企業を選ぶことが、年収アップへの近道となるのです。

単に年収の高さだけでなく、将来的なキャリアアップの可能性なども踏まえた上で、慎重に転職先を選ぶことが肝要だと言えるでしょう。

関連:SESから他企業に転職する適切なタイミングとは?転職する時の注意点など解説!

【体験談】SESで年収を700万まで上げた先輩エンジニアに聞く

SESエンジニアとして年収アップを目指す上で、実際に高年収を実現している先輩エンジニアの体験談は非常に参考になります。ここでは、SESで年収を700万円まで上げることに成功したベテランエンジニア、Aさんに話を聞いてみました。


Q. SESで年収700万円を実現された秘訣はなんでしょうか。

A氏:何よりも、常にスキルアップを心がけてきたことが大きいですね。SESの世界は技術革新のスピードが速いので、常に最新技術を追いかける姿勢が求められます。

私の場合は、JavaやPHPといったポピュラーな言語だけでなく、AWSやDocker、Kubernetesといった最新技術の習得にも力を入れてきました。おかげで、高単価案件にアサインしてもらえる機会が増えていったんです。

また、プロジェクトリーダーやマネージャーといった役割も積極的に引き受けるようにしています。技術力だけでなく、マネジメントやコミュニケーションのスキルを高めることが、年収アップには不可欠だと考えているからです。


Q. スキルアップのために心がけていることはありますか。

A氏:何よりも、「学び続ける姿勢」を大切にしています。IT業界は変化のスピードが速いので、学びを止めたらそれまでだと思っているんです。

私の場合は、平日の業務終了後や休日にも、積極的に勉強会やセミナーに参加するようにしています。最新技術の動向をキャッチアップしたり、他のエンジニアとの交流を深めたりする場にもなるので、非常に有益ですよ。

また、自宅での学習も欠かしません。オンラインの学習サイトを活用したり、技術書を読み漁ったりしています。スキマ時間を有効活用して、コツコツと学習を積み重ねることが大切だと思います。


Q. 年収交渉の際に気をつけていることはありますか。

A氏:何よりも、「自分の価値を正当に評価してもらう」ことを意識しています。そのためには、日頃から自分の実績をしっかりとアピールしておくことが大切ですね。

たとえば、プロジェクトが成功した際には、上司に自分の貢献度をしっかりと報告するようにしています。また、資格取得などの実績もこまめに伝えるようにしていますね。

年収交渉の場では、こうした実績を根拠に、堂々と交渉に臨むことが重要だと考えています。自分の価値を正当に評価してもらうには、こうした地道な積み重ねが欠かせません。


Q. 最後に、SESエンジニアとして年収アップを目指す後輩へのアドバイスをお願いします。

A氏:何よりも、「諦めずに挑戦し続ける」ことが大切だと思います。年収アップの道のりは決して平坦ではありませんが、努力を積み重ねていけば必ず結果はついてくるはずです。

スキルアップに励みつつ、自分の価値を正当に評価してもらうために交渉する。そして、時には転職も厭わない。そうした地道な積み重ねが、年収アップへの近道になるのだと思います。


以上、SESで年収700万円を実現したA氏へのインタビューでした。スキルアップへの努力を惜しまず、自分の価値を正当に評価してもらうための交渉力を磨くこと。そうした地道な努力の積み重ねが、SESエンジニアの年収アップには欠かせないようです。

まとめ

SESエンジニアの年収は、経験年数や役職、スキルによって大きく変動しますが、多重下請け構造やスキル不足などの理由から、上昇しにくい側面もあります。SIerやフリーランスと比較しても、一長一短があるのが実情です。

しかし、スキルアップや年収交渉、キャリア戦略の見直しなどを通じて、着実に年収アップを実現することは可能です。特に、最新技術の習得と、プロジェクトマネジメントやリーダーシップの経験が、高年収への近道となるようです。

自分なりの戦略を立てて、SESエンジニアとしてのキャリアアップを目指していきましょう。